緊急食料準備ガイド
突発的な災害に直面したとき、緊急避難用バッグは生存を維持するための重要な鍵となります。その中でも最も欠かせないのが「食料」です。十分な食料を確保することで、生存時間を延ばし、身体機能を維持し、災害を乗り越えるための体力を保つことができます。
本記事では、まず「3日間」を想定した備蓄について解説します。より長期間(たとえば2週間)の食料備蓄については、別の記事でご紹介いたします。
準備のポイント
飲料水|1日の必要摂取量を満たすこと(計算式は下記参照)
カロリー|1日の必要カロリーを満たすこと(計算式は下記参照)
栄養|可能な範囲でバランスの良い栄養を意識する
対象者|成人/乳幼児/高齢者/ペットに応じた食品を準備する
保存期限|保存しやすく、長期保存が可能な食品を選ぶ
定期更新|半年〜1年ごとに期限を確認し、随時入れ替える
保存環境|直射日光を避け、温度・湿度の変化が少ない場所に保管する
飲料水の備蓄
十分な飲料水を確保することが最も重要です。
人が1日に必要とする水分量は、次の簡単な計算式で求められます。
体重(kg)× 30ml
計算例
55kgの場合:55 × 30 = 1,650ml/日
75kgの場合:75 × 30 = 2,250ml/日
水は生存に欠かせない基本的な要素であり、緊急避難用バッグに必ず入れておくべきものです。
また、一定量のペットボトル水を直接携行するだけでなく、安全な飲料水が確保できない状況に備えて、浄水器や浄水タブレットを持っておくことも検討しましょう。
カロリー必要量
一人あたりの1日のカロリー必要量
性別や活動量によって推奨されるカロリーは異なります。各家庭のメンバーごとに正確に算出したい場合は、以下の計算式をご利用ください。
体重(kg) ×(女性22/男性24)× 身体活動レベル
= 1日の推定必要カロリー
※単位は kcal(キロカロリー)です。身体活動レベルの目安は以下の通りです。
身体活動レベル
動けない状態:1.1
座位中心/軽い活動:1.2~1.4
立ち仕事や日常的に歩行が多い:1.6~1.8
非常に高い活動量:1.8~2.2以上
簡易的な目安(時間がない方向け)
活動レベルを 1.7(立ち仕事・歩行が多い場合) と仮定した場合:
50kg 女性:50 × 22 × 1.7 = 約1,870 kcal/日
80kg 男性:80 × 24 × 1.7 = 約3,264 kcal/日
食品の種類のおすすめ
高カロリー食品:チョコレート、ピーナッツバター、ハチミツ、メープルシロップ など
高栄養食品:レトルト粥、ロングライフ牛乳、缶詰、戦闘糧食、シリアルバー など
すぐに食べられる食品:プロテインバー、塩タブレット など
また、できるだけ普段から食べ慣れている食品を備蓄することをおすすめします。日常的にスーパーやネット通販で即食食品や缶詰を少しずつ試しておくことで、災害時に食べ慣れない食品で胃腸の不調や脱水を引き起こすリスクを減らすことができます。
家族の状況に応じた食品の準備
乳幼児:粉ミルク、離乳食
高齢者:やわらかく、噛みやすい食品
犬・猫などのペット:ペットフード、缶詰、おやつ(安心できるスナック類)
特殊な食事ニーズへの対応
ご自身やご家族に特別な食事の必要がある場合(ベジタリアン、グルテンフリー、乳糖不耐症、特定食材へのアレルギーなど)、食品を選ぶ際には必ずこれらの条件を考慮してください。
定期的な確認と入れ替え
食品には必ず賞味期限があります。そのため、緊急避難バッグの中身を定期的に確認し、期限が近い食品は早めに入れ替えることが大切です。そうすることで、災害時にも安全に食べられる食品を確保できます。
入れ替えた食品は、普段から食べ慣れているものを準備しておけば、無理なく日常の食事として消費することができます。
保存環境
まず、食品の包装が破損していないことを確認してください。ご家庭にネズミや害虫が出る可能性がある場合は、噛まれたり壊されたりしないよう、堅牢な収納箱やケースに入れて保管することも大切です。
また、できるだけ直射日光を避け、温度や湿度の変化が少ない涼しい場所に保管してください。
NG例:ベランダ、キッチン
こうすることで、保存条件の悪化による食品の劣化や腐敗を防ぐことができます。
以上が基本的な緊急避難用バッグの食料に関する推奨事項です。日頃から少しの時間をかけて準備・点検しておくことで、ご自身やご家族の安全を守ることにつながります。
私たちは今後も継続して呼びかけていきます。すべての人が定期的に緊急避難用バッグを確認・更新し、災害発生時に中身が常に良好な状態であることを確保してください。
そうすることで、自分自身と大切な人の生命をより確実に守ることができます。
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阿餅(あべい) 私は「餅編集」と呼ばれ、心の中にはさまざまな相反する魂が同居しています。 生産性ツールの研究に熱中し、個人の効率を追求する一方で、チームワークにも中毒気味で、仲間と夢を追いかける高揚感をやめられません。 社会問題や国際政治にも関心を持ち、「災害を恐れるよりも、理解し、事前に備えるべきだ」と考えています。 真剣にコラム記事を執筆し、「書き続けることで、もっと多くの命を救えるはずだ」と信じています❤️ |